【拾骨(しゅうこつ)】覚書

「20歳とはとてもとても思えないお骨でしたよ。」

相方とふたりでサマンサの拾骨
焼かれた骨を前にセレモニーの方の話を聞く
「とてもとても、しっかりとした骨で
骨盤、尾骶骨、これは尻尾の骨。
大腿骨から脚の指先、爪まで、
肩から腕、手の指先、爪まで、
背骨は全て綺麗に並び、
胸骨、肋骨、喉仏…
何より驚いたのは歯が全て揃っていた事!
奥歯まで綺麗に残っていて
この子は歯周病も起こさなかったんですね…。
人間もそうですけど
歯がしっかり残っているというのは
本当に健康だった証拠ですから。
この子は元気な子だったのでしょう?」

若かりし頃のサマンサのやんちゃの数々………
手を焼いた脱走癖…
散歩道でボール遊びをさせようとして
逆に説教された道端に置かれたボール。
散歩途中で首輪が抜けて
私達の周りをおちょくるように
全力疾走する姿……
川遊びで私が転び呆れ顔で見られた…。
野良生活が3年以上と推測され、
出会った最初の酷い人間不信が
何年間か残っていたけど
私達を信じてわがままを言うようになったり
私達もサマンサを信じて
仔犬を躾けてもらったり、
わが家の犬世界の中では
頼りきっていた存在で……
長生きしてくれたおかげで
長く一緒に居られた。

「驚いた事に…
この子はまだ脂肪がついていたんですよ!
この骨に時々こびり付いている赤い部分は脂です。
この子は、痩せてきていたのでしょうけど
ちゃんと食べてきた子なんですね。」
16Kgあった体重が
最期は7.0Kgになって、
顔も身体もコツコツになり、
眼窩も窪んでしまったけれど
それでも脂肪が残っていたか………

そして………
「本来ありえない事なのですが…」
「頭の向きだけが逆を向いたんです…」
確かに私達の目の前にあるサマンサの骨、
その頭部の骨だけが背骨の上に乗っているような
異様な形になっている。
まるで後ろにいる何かを嚙みつきに行ったような形。
「大きな力がかかって向きが変わったなら
喉の骨とか砕けるはずなんですけど…
この子の骨は喉仏も綺麗に残っているんですよね…」
少し言い辛そうなセレモニーの方、
(あぁ、やっぱりサマンサらしい)
「最期まで戦ったんだ。」
私達はそう思った…
身体が焼かれるその瞬間まで
きっとサマンサは抗ったんだ。
強い火力で焼かれた時、偶々顔が浮きあがり、
逆向きに煽られたのかもしれないけれど…
私達には
骨になっても
サマンサはサマンサらしい姿だと
愛おしく思えた。
何もかもがサマンサらしい

サマンサが最期に噛みついたもの
それは
私の腕(笑)
日曜日の最後になった散歩道、
毛布で包んでいる四肢をまとめて抱っこしていた事に気づき
持ち直そうと腕をサマンサの顔の前に差し入れた時
カプ〜〜〜〜!!!
!!!!!!
(痛たたた……!)

喰らいつく とか、
噛みちぎる とか、
そういう皮膚が裂けるような強さではなく、
カプッと咥えて吸いついているような感触で……
実際、噛まれた跡は牙は刺さらず内出血だけ…
そうね、
一週間もすれば消えてしまうくらいの跡。
くっきりと証を残してくれました。(笑)
本当に何もかもがサマンサらしい…

遺骨は玄関前に
七日毎の節目を七度過ごし
四十九日にわが家の庭の一角の
八雲とダリの眠るお墓に、
土に還す事にしている。

庭の花を摘んで
お水とたくさんのフードをお供えして
食べる事が大好きだったサマンサだから
どんぶりいっぱいお供えしてあげる(笑)
お疲れ様だったね…
土に還るその日まで
其処此処で自由にくつろいでいてね…
☀︎
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