山のあなたの空遠く

山のあなた
カール・ブッセ 上田敏訳
山のあなたの空遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。
噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。

待宵草が咲いている
丁度、一年前の今日
山の母犬がここで死んだ

仕事場の一番遠い駐車場の
一番端の溝の中
イノシシの罠により、大怪我を負い、
おそらく、その前脚の骨が見えるような傷が原因で
感染症を起こし、
腐敗した片手を胸の下に隠すようにして
この溝に身体を押し込めて
血を吐いて死んでいた…
朝、見つけられ、
仕事が終わって荼毘にふした。
あの日の悲しみを未だ心は覚えている…
何も助けてやれなかった悔しさとともに…

山の母犬に「ドングリ」と、名を付けていた
「ドングリ」、
もう、生まれ変わっているだろうか…
幸せな気持ちを知ったろうか…
お腹空かせていないだろうか…
安心して眠っているだろうか…

去年、お前が生き抜いて死んだ時、
耕されていた田圃は
今年は休耕田みたいだ…
蓮華の花が咲いているよ

五月一日、
この日は忘れられない日…。
山の母犬を亡くした日であり
捨てられたのであろう
山の母犬と行動を共にしていた
身体の大きな人懐こい茶色の雄犬が
同じようにイノシシの罠に負傷し、
この日のうちに保護できた日
その雄犬は
「ハチ」と名付けられ、元気に過ごしている。

こんなに穏やかな顔になりました…

一年前の罠の傷痕は
ずっと残る傷になったけれど、
懸命に生きた「ドングリ」をいつも思い出せる。
そして、遺体を見つけることが出来なかった
片足の不自由だった「モーちゃん」もお前の仲間だったね…。
なぜ、
お前を助けることができたのに
他の子は助けられなかったのだろう…。
いつも
その傷を見ると思い出す。

「ハチ」よ、
お前は幸せになれ!
短い命を駆け抜けていく
野に生きる者たちの切なさを
抱いてお前は幸せになれ!

この里山に
消え続ける命は尽きず…
毎日の「ハチ」との散歩に
山を見ては思いが尽きぬ…

里山に思いを馳せたあと、
夢路の部屋に戻ってひと息つく私…
そんな私の横で
夢路は全てを見通しているような瞳で
私を慰めてくれる…
捨てられ、
野山に生きる子達に
私は何が出来るのだろうか…。
今日、晴れてて良かった…

☆今日もダリは散歩に行きました♡
ウィンナー2本、カステラ一欠片、ボーロ20粒…
自発的に食べました♡
背骨が数えられるくらいに痩せているけれど
軽やかに歩きました。
☀︎
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